あなたの陽炎 -オヌキ諒- 【MUSIC VIDEO」
10年間介護をし続けた最愛の母へ贈る歌
「あなたの陽炎」
【MUSIC VIDEO」
「あなたの陽炎」はシンガーソングライターのオヌキ諒の実体験から生まれた楽曲となります。
シンガーソングライターとして活動する傍ら、友人にも職場の人にも誰にも言わずに、母の介護をしていた彼のリアルな想いが込められた歌です。
母へ贈る愛を、映像として本人直筆の水彩画で制作し表現しました。
とある家族の想い出、一風景を是非ご覧ください。
【セルフライナーノーツ】
″自分は介護をしていたのか″
そう考えると、なんだかピンと来ないんです。
僕が産まれたばかりの幼い時、お腹が空けばミルクを口に運んでもらい、おむつも替えてもらっていたと思います。
言葉もちゃんと話せないから、伝える術が泣き声になったり、
昼も夜もわからないから、″夜泣き″なっていたこともあると思います。
僕の母には、パーキンソン病、レビー小体型認知症という診断が出ていました。
詳しい症状などは、ここには書きませんが、僕が感じていたことは、
″人はまた産まれたばかりのあかちゃんに戻っていく″。
そんな風に思っていました。
いや、正直に言うと、そう思えるようになった。
いや、そう思うようにした。の方が気持ちに正しいかも知れません。
そして母は″戻っていく途中″に、
「恥ずかしいからこのことは秘密にしてね」
優しくて、哀しくて、小さくて細くなった声で、僕にそう伝えました。
深夜の静まり返った部屋で、僕の涙が見つからないように「わかったよ」と返事をしたことは、今でも鮮明に覚えています。
それから僕は、出来るだけその約束を守りました。
プライベートでも、仕事でも、
″介護をしている″そんな風には言えませんでした。
僕自身も″介護をしていて大変なんだね″と、思われるのを避けていたんだと思います。
日に日に、戻っていく、なにかを失っていく母に″今までの当たり前″という暴力をぶつけてしまったこともあります。
優しい母からは想像もつかない″辛い言葉″を浴びたこともあります。
きっと、母も僕も、″戻っていくこと″に心が付いて行かなかったんです。
それでも、″今″と向かい合わないと彼女は生きてはいけないのです。
産まれたばかりのあかちゃんと同じです。
ただそれが、
″未来に生きるため″
なのか、
″安らかに眠るためなのか″
そこがちょっと違うだけなんです。
母は昨年、2021年の9月に永眠しました。
その頃は、コロナによる緊急事態宣言の真っ只中で、お見舞いにも行けず、最後のその時にも、病院に入ることは許されず、手を握ることも、声をかけることも、僕には出来ませんでした。
深夜、病室の看護師さんからの電話、受話器越しに聞こえる、切羽詰まるような心電図の音。
僕は、自分の心の準備をするだけで、
泣くこと以外、
僕には何も出来ませんでした。
僕は好きなように音楽をして、悔いのないように生きてきたつもりですが、
このことが、僕の人生最大の″後悔″になりました。
今でも悔しくて仕方がありません。
ただ、この燃えるような言葉にできない気持ちも、川のせせらぎのような柔らかい気持ちも、母が教えてくれたものなんだと思えるようになりました。
「あなたの陽炎」は、
″介護をしている″
″介護をされている″
いえ、
″愛を教え合っている″
そんな方に聴いていただきたいのです。
母との″秘密の約束″は、
きっと、優しい母なら許してくれますよね。
僕の生きてきた中で、こんなに″僕の生活″をさらけ出した音楽はありません。
僕の人生なんかじゃ足りないとは思いますが、
″愛を教え合っている人たち″が、辛くて苦しい時、
「あなたの陽炎」が、少しでも、あなたを癒してくれますよう。
そう願っています。
そして、母や僕、家族と親身になって向き合ってくれたヘルパーさん、ケアマネージャーさん、医療従事者の方々に、この場を借りて、厚く御礼申し上げます。
オヌキ諒
「あなたの陽炎」 Music
Words and Music: Ryo Onuki
1st Violin:Aya Yokomizo
2nd Violin:Yoshiko Kaneko
Viola:Reiichi Tateizumi
Cello:Takahiro Yuuki
Sound Produce & Arrange:Kohji Mizuguchi
Sound Engineer:Yasuo Hiruma
Mastering Engineer:Mitsuyasu Abe (Sony Music Studios Tokyo)
Recording Studio : Pastoral Sound
音楽配信主要サイトまとめ
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